病院長より 新型コロナウイルスクラスターを経験して

8月26日当院で発生した新型コロナウイルス感染症クラスターについて、病院長としてこの場を借りてお伝えしたいことがございます。

 

ご高齢の方、基礎疾患のある方にとって、新型コロナウイルス感染症はいまだに重症化や死に至ることがある病気です。

入院患者様に感染が判明した初日から佐世保市保健所に具体的な対処から治療まで連日指示を仰ぎ、長崎大学からも惜しみない支援と指導をいただきました。また、病院が手を尽くしても外部からの看護師支援が得られず日毎に勤務できる看護師が減る中で、職員は部署を越えてコロナ患者様を含む入院患者様を診療しケアし、支えました。

しかしながら特に嚥下障害があり点滴治療、痰の吸引や酸素療法を切らすことができない長期入院患者様にとって、感染症の身体に対する影響は大きく、今回コロナ陽性となり当院でお亡くなりになった方々、ご遺族の方々のことを思うと今も胸が痛みます。

 

 コロナ感染症でお亡くなりになった方々は、看取りの際に十分にご家族に寄り添っていただくこともできず、通常と異なるお見送りと葬儀がとり行われることから、ご家族のいっそう深い悲しみを目の当たりにして職員も言葉を失いました。病院内感染の終息のしばらく後となってしまいましたが、ご遺族の方の悲しみをお聞きする機会をいただけました。そこで、今回お亡くなりになった患者様方のご遺族の心に寄り添えていなかったとのご意見を拝聴しました。

加えて病院へいくつもの大切なご忠告をいただきました。面会制限が長期化している状況では、ご家族からは申し出にくいもののよりいっそうの丁寧な病状説明をしてほしい。近い地元の病院だからこそ患者からの率直な不満は伝えにくいと感じること。これらは多忙な主治医に代わって病院全体で仕組みとして改善してまいります。

 

今回のことでいただいた教訓を深く心に刻み、地元のかかりつけ病院として皆様の心に近い病院となることを固く決意申し上げます。

三川内病院 病院長 橋本 聡